「兎、波を走る」を観てきた!

観劇のこと

 高橋一生、松たか子、多部未華子の豪華キャストに魅かれて、ちょっと私の守備範囲から外れる野田秀樹作品「兎、波を走る」を博多座で観てきました。

 今回も、エントランスに向かう階段のデコレーションなし。でも、窓ガラスに出演者の写真が掲示されていました。皆さん、ニンジンのうさ耳が。。。

率直な感想は「難解!」

 プロローグで大倉孝二さんの長セリフの最後に「意味わからないでしょ?」の言葉があります。そう、確かに「何を表現しているのか、全くわからん!」と思いました。でも、観客は沸きました。この反応にいろんな意味が込められているようです。作者自身が、難解を売りというか、観る者の感想を理解しているのか、どうなんでしょ?

 公演は1幕。幕間はなく、2時間ブッ通しで上演されます。観客は、一息ついたり、感想を共有したりして、自分の理解を立て直す機会はありません。おのずと、観客は舞台に集中しなければなりません。

 私は、途中「いったい何を伝えようとしているんだろう?」と迷子になり、睡魔に襲われそうにもなりました。私の理解力というか、鑑賞力はこの程度です。

 博多座会の会報誌「喝采」には、以下の記述がありました。

昨年、日本そしてロンドン、台北の観客を熱狂と感動の渦に巻き込んだ「O]:A Night At Yhe Kabukiワールドツアーの熱も冷めやらぬ中、NODA-MAPが2年ぶりの書き下ろし最新作を上演する。(中略)

野田曰く、物語の設定は「“壊れかかった遊園地”を舞台に繰り広げられる“劇中劇(ショー)”のようなもの」で、“アリス”が登場するという。果たしてそれは「兎」を追いかけて不思議の国へと迷い込んだあのアリスなのか?その上、或る“世界的な時代の劇作家”まがいの人間までもが2人絡んでくるらしい。(後略)

「喝采」8月号 2023 3ページ

 でも、こんな構成は、野田秀樹さんの真骨頂なのでしょうね。難解なストーリーも、終盤に向けて一気に回収されていきます。

 今となっては、「あれは遊園地だったんだ」という感じです。

 成田国際空港建設中のゲリラ活動を映像で流して「早く土地を売って、新しいところに住んだらいいのに」と秋山菜津子さんのセリフを聴くと、「なぜに今頃、成田空港問題?」と思いましたし、アバターや仮想通貨、AIが作る世界に「未来への警鐘?」とも思いました。そして、劇中劇の終盤で「横田めぐみさんと横田早紀江さん親子をモデルにしている?」とはっきりわかる演出もありました。

 いろんな事象が盛り込まれて、観た者がそれぞれに刺さるものがあれば。。。というところなのでしょうか?

 野田ファンには、たまらない内容なのでしょうね。

圧倒的な役者の力

 ネタバレになるのは、避けますが、主役の高橋一生さんは兎、松たか子さんは子どもを探している「お母さん」、多部未華子さんはアリスでした。

 多部未華子さんは衣装や舞台装置で「不思議の国のアリス」のアリスだろうことはわかりましたが、高橋一生さんの「兎」が何なのか、当初は全くわかりませんでした。そして、松たか子さんの登場は「迷子預かり所」で「何百年も子どもを探している」とコミカルに現れ、多部未華子さんと子どもを取り合ったりするのです。

 それが、終盤にかけて物語が回収していくのは、台本の功名さとこの一流の役者さんたちの力量なのでしょうね。

 会報誌「喝采」にある高橋一生さんのインタビューで、「自分のひみつ道具的なものを野田作品では出さざるを得ないときがあります」と書いてあり、な~んかわかり様な気がしました。

 この作品では、以前から注目していた多部未華子さんが特にハマりました。彼女は、テレビドラマのヒット作に次々と主役級で出演し、今旬の女優さんですが、舞台女優としてのスキルの高さを感じました。「お母さん、お母さん、お母さん、、、、、とセリフをリフレインさせていくところでは、思わず涙が零れそうでしたし、将来が楽しみな女優さんです。

2階席で観劇

 今回、2階のサブセンターブロックで、博多座会の会員席としては、日ごろにない悪い席でした。「当日券を必ず販売する」という野田秀樹さんの方針のため、事前販売数が少な目なことも影響していたのかもしれません。

 まあ、2階席は舞台を全体的に観ることができるので、それなりの楽しみ方はあります。舞台装置や演出の巧みさを観ることができて面白かったです。

 ただね、役者さんによっては、自分の声を舞台に共鳴させることができない方がいたのは、残念でした。客席までセリフが届かない(聞こえない)のですよ。今回のようなストレートプレイでは、「ちょっと致命的かも?」と思いました。野田さんなら、発声や活舌には厳しそうですけどね。博多座の舞台構造上の問題なのでしょうか?残念でした。

私の演目の感想

 う~ん、率直に言って、やっぱり私の守備範囲ではありませんでした。カーテンコールでは、スタンディングオベーションになりましたが、私は終演時の混雑を避けるために、早々に劇場を後にしました。

 私の次の観劇予定は、9月博多座大歌舞伎です。市川團十郎白猿の襲名披露です。かわいい勸玄くんにも期待です。

 次は、9月博多座大歌舞伎です。市川團十郎白猿襲名披露です。團十郎の隈取を楽しみにしています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました