博多座「ガイズ&ドールズ」観てきました

観劇のこと

 行ってきました、博多座「ガイズ&ドールズ」。主演の井上芳雄さんは、デビューの頃から大ファンです。この作品は、帝国劇場公演では出演者に新型コロナウイルス感染者がでて、長期休演となりました。博多座でも7月20日公演が休演となり、とても心配していましたが、無事観劇できました。

ガイズ&ドールズのあらすじ

 作品のあらすじは、以下のとおりです

 1930年代のニューヨーク。スカイ(井上芳雄)と呼ばれる超大物ギャンブラーがいた。彼の仲間のネイサン(浦井健治)は自分の婚約者アデレイド(望海風斗)へのプレゼント代と賭場代を得ようとスカイに賭けを申し込む。「指名した女を落とせ」というものだ。「どんな女でも落とせる」と自信たっぷりのスカイだが、ネイサンが指名した女性は、清純で超堅物な救世軍(※)の軍曹・サラ(明日海りお)だった。サラの伝道所が閑古鳥で困窮しているところに、自分と一緒にハバナへ食事に出かければ、罪深い連中を伝道所に連れて行くと持ち掛けるスカイ。教団を救うため、サラはその誘いを受ける。ハバナで過ごすうちに、スカイとサラは次第に惹かれ合っていく。だが、高揚した気分で伝道所へ戻ると、サラの留守をいいことにネイサンが賭博を開催していた。ネイサンがスカイの仲間だと知ったサラは、スカイが自分を連れ出して仲間に賭博場を提供していたと誤解。彼に裏切られたと思い込み…。正反対のスカイとサラ、14年間も婚約中のネイサンとアデレイド。2組のカップルの恋の行方は?

(※)救世軍…世界各国で宗教活動、社会福祉活動、医療事業などを推進するキリスト教の団体で、軍隊組織、制服を採用している。

帝国劇場 ミュージカル『ガイズ&ドールズ』 (tohostage.com)

 この作品が映画化されたのが1955年です。私はこの頃のミュージカル映画が好きです。

宝塚歌劇版「ガイズ&ドールズ」の初演

 この「ガイズ&ドールズ」は宝塚歌劇版の初演を観ています。

 大地真央さんがスカイ役、サラ役は黒木瞳さんでした。当時、大地真央さんの圧倒的なスター性に黒木瞳さんが寄り添う感じでした。黒木瞳さんは大地真央さんの相手役としてはちょっと背が高すぎるので、大地真央さんと並ぶときに少し膝を曲げてバランスをとっているのが印象的でした。30年以上経過しても、コンビとしてのバランスが記憶に残っているのは、なぜなんでしょう?

 お二人は今でも芸能界のトップを走り続けていることを考えると、宝塚歌劇は多くのスターを輩出していますよね。

幕開けと期待

 話をガイズ&ドールズに戻します。

 幕が上がると、紗幕に映画のようなクレジットが投影され、おなじみの音楽とその向こう側で街角のシーンが始まりました。

 今まで舞台の制作スタッフは、観劇の後に目を通すくらいでしたが、最初に制作スタッフを見ると、作品に対して新たな視点ができました。演出は、ブロードウェイから招聘したマイケル・アーデン氏です。

 そうこうしているうちに紗幕が上がり、一気に「ガイズ&ドールズ」の世界に入っていきました。

 主演の男優二人が180㎝超で、女優が宝塚歌劇で男役トップスター二人だったこともあり、舞台映えして、もう見た目ばっちりです。この作品の配役は本当に豪華です。

スカイ役の井上芳雄さん

 安定した歌声、声量、活舌、演技力。さすがです。ギャンブラーであるスカイ役はオジサンという先入観がありますが、映画で演じたマーロン・ブランドは当時30歳でした。井上さんは、ダンディさが表に出て、とてもかっこいいです。

 今も変わらずミュージカル界のプリンスですが、酔っぱらった相手役のサラを介抱するところの包容力は大人の男性ならではで、本当に素敵です。目を♡にして、観てました。今回、ダンスシーンもあり、ファンにとってはたまりません。堪能しました。

ネイサン役の浦井健治さん

 私この方のひょうきんさがツボです。映画ではフランク・シナトラが演じていますよね。当時40歳の頃です。賭博の胴元の役どころとしては、浦井さんはちょっと若いようにも思いますが、ネイサンという小悪党ながら憎めない役はよく似合います。アデレイドとの約束を破って、「許して」って跪いているところがとっても可愛いです。

 浦井さんはシリアスな作品でも、カーテンコールの時はいつもちょっと笑いを取るので、勝手にお茶目な人と思っています。

サラ役の明日海りおさん

 「はじ~めてのこいを~」と明日海さんが歌いだしたところからず~っと、黒木瞳さんが重なってしまいました。高音の出し方とブレスの仕方がそっくりで、それからはセリフの言い回しまで似ているような気がしました。30年以上前の記憶なので、いろんな記憶とミックスされて歪んでいるとは思いますが、「清純で超堅物」という役柄設定が宝塚歌劇の娘役を彷彿させるのかもしれません。

 ハバナのナイトクラブのシーンは流れるように踊っていて、素敵でした。

アデレイド役の望海風斗さん

 ショーダンサーはミュージカルコメディによくある設定の役ですよね。好きな人をず~っと待ち続ける一途で憎めない人という役どころをちゃんと押さえているな、と思いました。スタイルが抜群で本当にきれいです。男役出身の人は、押し出しが強くて映えるところが好きです。

ナイスリー役の田代万里生さん

 田代さんは、この舞台では最初の頃、あまり目立ちません。セリフはがっつりあるのですが、パナマ帽を目深にかぶり、きれいなお顔を観ることがないんですよね。

 「ありゃ?どこにいるの?」と探したくらいです。それが、クライマックスの伝道所でギャンブラーたちの告白シーンで一気に爆発します。「わあ、田代さ~ん!最高!!」伸びやかな歌声が素敵です。

 いつもは準主役的な役どころで舞台に華やかさを添えてくれる方ですが、今回はちょっと役不足だったかもしれません。

素敵なダンスナンバー

 ミュージカルで私が楽しみにしているのは、ダンスナンバーです。

 今回の舞台で一番気に入ったのは、地下賭博場のクラップスゲームでのダンスシーンです。振付に特別感はないのですが、個人個人のダンスレベルが高く、アンサンブルとしての統一感もあります。スーツにパナマ帽子のダンサーだけで展開するこのシーンは本当にかっこいいですよ。

 その迫力あるダンスの後に、床に座って賭けをやっているのが、「日本のやくざ映画の賭場みたい」と思ってしまいました。ここは、「もう少し工夫はできなかったのか?」と勝手に思ってしまいました。

2階席の醍醐味

 チケットは博多座会に手配したところ、送られてきたチケットの座席は2階のサブセンターでした。「大好きな井上芳雄さん主演の作品なのに。。。」と、正直がっかりしました。主演4人が豪華な配役で公演期間も短いこともあり仕方ないのですが、今までの会員席の中では、悪い方です。

 しかし、今回は2階席でも正解でした。2階席だったからこそ、アンサンブルの全体像が見渡せます。今回2階席だったからこそ、クラップスゲームシーンの迫力を堪能することができたのですから。

ガイズ&ドールズの大千秋楽

 YouTubeで博多座大千秋楽の様子を観ることができます。主要な出演者のコメントが聞けて、楽しめますよ。皆さんのお話しを伺うと、新型コロナウイルス感染症の影響は本当に大きかったようです。そして、改めて一人ひとりをもう一度振り返ると、豪華な出演者だったな~と思います。よかったらどうぞ。

博多座がんばれ!

 最近の博多座は、新型コロナウイルス感染症対策として、公演期間を短くしているのでしょうか?

 1か月に2~3公演を上演すると、公演回数が少ないので、観たい人が殺到して大入り満員率は上がりますよね。半面、公演入れ替えのための休場期間も増えますから収益減になりますね。休演リスクもありますし、運営は大変だろうと思います。

 個人的には、博多座会で応募できる演目数が増えたのはうれしいのですが、公演期間が短く会員席の競争率が上がって残念です。

 大好きなミュージカルが安定的に上演されるのは近隣では博多座だけです。頑張って!!

タイトルとURLをコピーしました