先日、愛希れいかさんと古川雄大さんの「エリザベート」を観てきました。
今度は、花總まりさんと井上芳雄さんの「エリザベート」です。
大人気の公演
博多座の会員席には、年間のチケット購入回数(金額?)に応じて、博多座会ポイントというものが設定されており、60ポイント以上で「博多座会シート指定権」が与えられます。その権利を獲得できたら「博多座会シート指定チケット」が送られてきます。
私は、1回分の「博多座会シート指定権」を取得していたので、井上芳雄さんと花總まりさんの「エリザベート」では、できるだけ良い席で観たいので、この権利を行使すると心に決めていました。
会員席の抽選が終わって、送られてきたチケットは何とM列(前から9列目)のサブセンターブロック。「え~、これ本当に優先券を利用したシートなの?!」とため息が出たことは言うに及びません。このエリザベートのために優先券を大切にとっていたのに。。。通常の公演ならば、5列目までのセンターブロックです。いかにエリザベートが人気の演目なのかがわかります。
確かに、会報誌「喝采」にも、「当公演は人気公演のため、抽選によりシート指定範囲外での当選、またはお申込み自体が落選となる場合がございます。」と書かれています。
チケットが取れただけでも良しとすべきなのでしょうね。

そして、キャスト一覧を写真に撮るために長蛇の列です。2階席の回遊廊下を半周にわたって列ができていました。何ともはや、すごい人気です。

主演二人以外はほとんど同じキャスト
今回観た公演は、エリザベート、トート、ルキーニ以外の主要メンバーは前回の愛希エリザベートと古川トートとほぼ同じです。主なキャストは以下のとおりです。

もっと違う組み合わせも考えてみたのですが、日程調整がつかず、仕方ありませんでした。しかし、主演二人以外はほとんど同じキャストという観劇もいいですね。主演二人とのキャッチボールの違いがはっきり分かって、興味深かったです。
最も違うように感じたのは、フランツ・ヨーゼフ役の田代万里生さんでした。何がどう、という風に表現はできないのですが、どっしり構えているというか、エリザベートを全身で受け止めているような感じがしました。
花總エリザベート

一路真輝さんが宝塚歌劇団を退団して、黒柳徹子さんの「徹子の部屋」に出演したときのことです。一路真輝さんご自分が東宝ミュージカルの「エリザベート」を演じるのに、花總まりさんを評して「エリザベート役をやるために生まれてきたような人」と話していたことを思い出します。エリザベート役のバトンは、宝塚歌劇団では花總まりさんから、東宝ミュージカルでは一路真輝さんから複数の人に渡されていますが、やはり花總まりさんはまり役です。
私は宝塚歌劇団での初演の花總エリザベートを見ています。DVDも持っていて、時々見返しますが、初演当時は年齢も若いので初々しく、生硬な感じがします。そして、当然のことながら、年を重ね経験を重ねることにより役に円熟味が増して、より洗練されているのは言うまでもありません。ただ、舞台第一部ラストシーンの、ため息が出るほどの美しさは今も初演当時も変わりませんし、この美しさを超えるエリザベート役者に出合ったこともありません。
圧巻の井上トート
井上芳雄さんのトート閣下は、今まで概ね全て観てきました。やっぱり素敵です。特に、花總まりさんとの共演は安心して観ることができます。

今回のトートは、特に低音に圧倒されました。黄泉の国の帝王を表現するのに、エコーが強めなのは古川トートの時と同じです。それでも、「役者が変わると、こんなに違うんだ」というくらい、違いました。低音が響き渡って、劇場全体を震わせる感じです。声質、声量、表現力。どれをとってもスペシャルな方ですが、年齢や経験を重ねて「黄泉の帝王」を体現できる貫禄がついたと思います。本当に、凄い。。。
また、エリザベートが梅毒にかかって、その診断をする「ドクトル・ゼブルガー」にトートが変身しているときは、おじいちゃん声を出しているのです。「え、ドクトル・ゼブルガーはトートが化けてないの?井上芳雄さんじゃないの?」と一瞬思ったくらいです。これほどまでに声色を変えられる井上芳雄さんには、びっくりです。よぼよぼした老人医師から黄泉の帝王に変身するときの変化は、光り輝いていて「変わった!」という感じでした。
そして、舞台上で遊び心を見せることも忘れません。山崎育三郎がルキーニ役をやっているときに、「トート閣下からちょっかいをかけられる」というエピソードを聞いたことがあります。今回、そのシーンを見ることができました。ルキーニが深々と頭を下げているときに、トート閣下がルキーニの頭をヒョイっと撫でて舞台奥にはけていったのですよ。もちろん、舞台演出上問題のないシーンです。ちょっと得した気分でした。
カーテンコール
博多座は井上芳雄さんの地元です。カーテンコールには花總エリザベートと一緒に何度も応じてくれました。ただ登場するだけのカーテンコールではなく、オーバーアクションのお辞儀をしたり、二人でスキップをしたりと観客を大いに沸かせてくれました。こんな時、花總まりさんも一緒にノリノリで一緒にやってくれるので、二人の信頼関係の深さを感じます。
本当に「あ~、素敵な時間をありがとう!」って思って帰ることができました。
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