花總まりさん考

観劇のこと

 1月31日、「エリザベート」博多座公演が千秋楽を迎えました。ここで、花總まりさんがエリザベート役を卒業するとご本人の口で話されました。

 東京から始まったこの公演。花總まりさんはこの公演を「集大成にする」とおっしゃっていたので、「もしかしたら、これが最後?」などと考えていました。「やっぱり。。。」

 今は、「最後のエリザベートを観ることができて良かった」と思っています。

宝塚歌劇団在団当時

 花總まりさんは宝塚歌劇団に平成3年に入団(同期には朝海ひかるさん、春野寿美礼さん、安蘭けいさん)し、初舞台の次の公演から主要な役を与えられるような逸材だったことは有名です。私はビデオで、初舞台の「ベルサイユのばら」のラインダンス、次の「白夜伝説」のミーミル役を観ました。新人の頃は、役者としての技術というよりオーラ、見た目の美しさで目立ちました。初舞台生は、皆さん舞台メイクが下手で、花總まりさんも例外ではありませんでしたが、スタイルの良さから、彼女とすぐわかるのです。

 トップ娘役になってからも、スタイルの良さ、特に脚の美しさはいつも話題でした。

 衣装を美しく着こなすスタイルは、ため息ものでした。それも、スカートよりパンツ姿、特にサブリナパンツ姿は足の美しさを際立たせていました。

 当時、足が長い(胴が短い?)ため、ウエストのくびれが少ないことを、主演クラスの上級生にいじられていました。人間にとって必要な臓器を限られたスペースに埋めるために、ウエストが犠牲になっていたようです。そんなことってあるんですね。凡人は、臓器を格納する胴体は十分すぎますし、何なら脂肪もたっぷりしまうことができますもんね。

 そして、宝塚歌劇団での花總まりさんのポートレート写真は、結構カジュアルであっさりしたファッションが多かったように記憶しています。娘役は女性である男役に寄り添わなければならないため、ポートレートのファッションはフリルやレース一杯の女の子っぽいファッションが多かったようでした。ですので、彼女は異色で、役者としての存在そのものの大きさが、他に迎合しなくてもよかったのでしょうね。

エリザベート役

 宝塚歌劇団でのエリザベートは2回。最初は一路真輝さんの卒業公演で日本初演のタイトルロールでした。その当時、22歳。本当にきれいで、一生懸命でした。それは今も変わりません。

 来月末には50歳になる花總まりさん。あの美しさをこの年齢でも維持できていることは、奇跡でもありますよね。もちろん凡人には到底及びもつかない努力があってのこととは思いますが、羨ましい限りです。

 そして、「美さが力になる」というエリザベート皇后でも、晩年は扇で顔を隠していたという逸話から、老醜というものは誰にもいつか訪れる、残酷なものでもあります。オーストリアの「エリザベート」初演では、トートとともに黄泉の国に旅立つとき、エリザベートは顔をくしゃくしゃにして老醜を表現する演出がされていました。

 もちろん、日本版では、そんな演出はありませんでしたし、観客も期待していないと思います。だからこそ、花總まりさんは勇退をしたのでしょうか。

これから

 これから、彼女はどのような舞台を見せてくださるのでしょうか?エリザベート第1幕最後のあのシーンの美しさは初演当時と比べても、全く色あせていません。「もう、彼女のエリザベートは観ることはできないのか。。。」という虚無感とともに、彼女の今後の活躍を期待します。

 そして、花總まりさんを凌ぐほどの圧倒的な美しさと実力を兼ね備えたエリザベート役者に、早く会いたいものです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました