マリアは今年の1月に虹の橋を渡った愛犬です。今まで排泄、食事、病気のことをお話ししました。今日は、車いすについてです。
依頼先の検討
12歳の冬、変形性脊椎症の診断がついたときに、車いすの購入をしました。Web検索をすると、オーダーメイドのものやレディメイドのもの、いろいろでした。いくつかのサイトのなかで、車いす作家とコンタクトを取ってみました。
そのうちの一人、「わんうぉーく」を運営している車いす作家の小林さんと相談のメールをやり取りする中で、ペットに対する向き合う姿勢、動物に対する死生観などがしっかりしている方との印象を受けました。それで、この作家さんにお願いすることにしました。
時期は今か
作家の小林さんと特に協議した点は、①時期は今か、②2輪にするか、4輪にするかの2点です。

当時のマリアは、後ろ脚は伸びたままで、立つことが難しくなっていました。それでも、前足を使って立ち上がり、人間の支えは必要でしたが、よたよた転びながらも移動はできていました。かかりつけの獣医さんは、「まだ早い。今からだと脚の筋力が落ちてしまう。」と言われました。しかし、作家の小林さんは、「本当に動けなくなる前に車いすに慣れていた方がよい。」「正しい姿勢を保つことで筋力の低下を最小限にし、マヒの進行を抑える可能性もある。」という考えでした。
私は、医療関係の仕事をしていたので、リハビリの概念も理解できます。結果として、作家の小林さんの意見を選びました。
2輪にするか、4輪にするか
マリアは後ろ脚のまひが顕著な症状でしたが、前脚にも軽度のナックリング(足の裏を地面につけず、足の甲をつけた状態)がありました。おそらく、子犬の頃から何度かけいれんをおこしているので、その影響と思います。しかし、歩行の時はきちんと足の裏で着地するので、歩行にナックリングの影響はないと考えていました。
4輪車いすは前後左右かなりの大きさになります。私にはできたら2輪車いすにしたいという希望がありました。しかし、作家の小林さんはナックリングがあることを懸念し、将来を見据えて「4輪にした方がよい」「4輪のうち、前足側のフレームは外すことができる」との説明を受けて、4輪にすることにしました。
サイズ計測
わんうぉーくの工房は千葉県にありました。本来ならばそちらに伺って採寸をしてもらうことが理想ですが、マリアを飛行機に乗せるリスクを考えると難しいと判断しました。そこで、わんうぉーくのHP上に採寸方法が記載されており、その時の画像も同時に送付して、作成をお願いしました。
マリアに直接会わずに作成するので、採寸は細かい指示が出ました。結果として2回採寸しましたが、納得のいく内容でした。
出来上がり

出来上がった車いすは、黒の配菅を加工して作られたもので、武骨な感じです。後ろ脚の機能が無くなっても、安全に歩けるように靴下が、高齢になって頭があげられなくなっても支えられるように頭部受けが取り付けられていました。
この時のマリアには、この二つの機能は不要だったので、取り外して試乗させてみました。いくつかの調整が必要でしたが、作家の小林さんとやり取りしながら完成しました。
マリアの順応性
車いすが到着して試乗させたとき、マリアはあっさり歩いてくれました。作家の小林さんも驚いたほどです。きっと、車いすが体にフィットしていたのでしょう。
ただ、マリアの後ろ脚のマヒは改善していたため、積極的に使うことはなく、車いすを忘れないように、正しい姿勢が取れるように、時々乗せていました。
1249 チワワ マリアちゃん S4輪車 | 犬の車椅子のわんうぉーく (ameblo.jp)
病気の急激な悪化
マリアが寝たきりになるきっかけは、角膜潰瘍でした。治療のため抗生物質を服用したのですが、その副作用で急激に元気がなくなったのです。14歳の秋の頃でした。この時私は、「もうダメではないか」と思ったほどでした。
そして、ここから寝たきりの生活が始まりました。この後は、マリアを車いすに乗せても、もう歩いてはくれませんでした。正しい姿勢を忘れないために続けたかったのですが、マリアはとてもつらそうでした。マリアは車いすの段階ではなくなったと思いました。
その後
マリアが使った車いすは今、作家の小林さんのご厚意で、「わんうぉーく」でマリアと同じように車いすを必要とするわんちゃんの試乗車として使ってもらっています。これも、マリアがこの世に生きた一つの証思っています。
人間も、動物も生理的に正しい姿勢を取ることは心身の状態を改善します。寝たきりになってからは、特に大切と思っています。マリアにとってどうだったかは、本人に聞くことができないのでわかりません。ただ、寝たきりになって1年以上長生きしてくれたのは、マリアが頑張ってくれたからだと思っています。