関西・四国5つの美術館めぐりには、28人の方が参加し、一人参加の方は結構多かった印象です。そんな中で、とても印象的なお二人と知り合うことができました。
ご主人を失くしたばかりのご婦人
ご主人が亡くなって、まだ1年経っていないとのことでした。子どもが独立した後に御主人を失くし、一人の孤独が耐えられないといわれます。どこにいても、何をしてもさみしさがこみあげてきて、ふさぎ込んだ毎日を送っていたようです。そんな姿を見かねて、子どもさんが今回の旅行を提案されて、「行ってみようか」と思ったそうです。
目の前のご婦人は、とても社交的で、どなたにも話しかける明るい印象の方です。でも、長年連れ添った配偶者を失くすということはかなりのダメージだったようです。
ご主人を本当に信じて頼っていたのですね。
それでも、自分で何とかしなければ、という気持ちになっていて、今後も旅行を続けていきたいとのことでした。
霊苑・石材店を経営しているご婦人
ご主人を3年前に亡くされ、残された会社の代表取締役としてご活躍の方です。
ご主人は職人気質の方で、会社経営には頓着なく、ご自分が切り盛りをしていたそうです。そのため、ご主人との関係は、会社という戦場で苦楽を共にする戦友といった感じだったといいます。
習い性というのか、家族関係・仕事上の役割から、友達とのお出かけはいつもリーダーシップをとって、どうするかの判断をする役割を任されていたとのことです。今回、このツアーに一人で参加したのは、友達の分まで考えて方向性を示す旅行に疲れたからとのことでした。「今回の旅行は本当に楽」とおっしゃっていました。
3人でのおしゃべり

この二人のご婦人とおしゃべりしたのは、MIHO MUSEUMのカフェで昼食をとるときでした。このカフェでは「おむすび御膳」がとてもおいしそうで、テーブルの順番を待っているときに、一緒に座ろうということになりました。この時に、自己紹介がてらに、上記のような身の上話をしたわけです。
ツアーでご一緒した方とのおしゃべりは、共通の話題として旅行の話になります。
私は聴かれない限りは、プライベートなことをしゃべることはありません。旅行については、「一人参加が最近は多いです~」と話して、相手の反応を見ます。そうすると、このお二人はとても興味を示してくれました。特に、海外旅行も一人でツアー参加をすることには、「どうやったらいいの?!」と、興味津々という感じでした。お二人とも、ご主人を失くして、ある意味身軽になっているのでしょうね。
という訳で、一人旅行の達人のように思われた私は、「あくまで個人的な感想ですが」という前置きで、ランチの他愛ないおしゃべりとしてお話をしました。
夕食のお誘い
このツアーでは、1日目はツアー内の夕食でしたが、2日目京都の夕食は各自でとります。
「今日の夕食はどのように考えていますか?」とご婦人尋ねられました。
私は、35年ぶりに、丸太町にある京茶漬けの「十二段家」に行きたいと考えていることをお話ししました。
それを聞いて、石材店のご婦人が「私も連れて行って」と言われました。

残念ながら、今日茶漬けの十二段家は定休日でした。そこで、Web検索で、京都タワーの1階にある京野菜のお店に行くことになりました。今年ご主人を失くされたご婦人は、「京都は思い出が多すぎて出歩けない」といわれご一緒できませんでしたが、二人で楽しい時間を過ごすことができました。
別れ際の名刺
石材店のご婦人から、名刺を頂きました。
今まで、いろんなツアーに参加してきましたが、初めてのことです。いただいた名刺に書かれたe-mailのアドレスにお礼のメールを送りました。いただいた返信のメールには、その後すぐに84歳になるカフェ経営の女性に会いに行ったことなどがつづられており、パワフルな方だということがわかりました。
旅行にはいろんな楽しみがあります。全く知らない方とのご縁があることも旅の醍醐味ですね。