観光客用レンタル着物の着付けが危ない

この頃思うこと

 関西・四国5つの美術館めぐりで35年ぶりくらいに嵐山に行きました。新型コロナウイルス感染症流行前には、海外旅行客でごった返していた古都の山里はウィズコロナに舵を切る政府判断によって、少しずつ国内観光客が戻って居ていました。

和服姿の若者たち

 35年も前と比較するのも無理はありますが、湯布院の湯の壺通りを彷彿させる可愛らしいお土産物屋さんがたくさんありました。時は流れ、時代は変わるのだな~などと、感慨深く思いました。

 そんな中、和服を着た若い女性やカップルと何度もすれ違いました。どの人もマジックテープなどで簡単に着付ができるような着物を着ていました。嵐電の駅周辺にはレンタル着物店が数件あるようです。京都を楽しむ姿は、とても微笑ましく思いました。

 しかし、そのうち、「うん?」という違和感を覚えました。着こなしがおかしいのです。

 特に男性が問題です。角帯をウエストあたりに巻いているのですよ。まるで子どもの浴衣です。「もっと、帯を下げて!」と心の中で叫んでしまいました。

 そして、女の子も着物の裾が広がってしまい、Aラインになっているのです。

 「あっちゃ~」みんな日本人でしょうに。。。

他人を見る価値観

 私は、基本的に他人がどんな格好をしていようが、関心はありません。その人の自由だと思っています。また、他人が私のことにも関心がないことも知っています。

 ですから、この着物を着た若い子たちにとやかく言うつもりはありません。でもね、違和感ってあるんだ~、というのが本音です。

 そもそも、嵐山で和服を着ていた若い人たちは、お金を払って和服をレンタルしているのですよ。ですから、ショップには最低限の着付けをする義務があると思うのですよね。レンタルで和服を着た若者たちが、あまりにもかわいそうに思います。(だからと言って、私がレンタルショップにクレームを言う訳ではありませんが。。。)

和服の着方を学ぶ場面がない

 街中では和服姿をみることは、ほとんどありません。そして、最近はテレビでも時代劇のレギュラー番組はありません。私もいい年ですが、和服を自分で着ることはできません。ましてや、和服の所作を学ぶ場面はありませんよね。

 そういえば、NHKの大河ドラマに出演中の宝塚歌劇出身の檀れいさんが、共演者の松田聖子さんの所作が「なっていない」と指摘したというネットニュースを見たことがあります。宝塚歌劇は、音楽学校時代にも、歌劇団員になっても、日本物の所作は徹底的に学ぶそうですから、あながち嘘ではなさそうです。

 話を元に戻して、和服が非日常であるため、一般人が和服文化を継承していくこと自体が難しくなっているのでしょうね。

ハリウッド映画でも

 ちょっと古い話になりますが、ハリウッド映画でトムクルーズ主演の「ラストサムライ」がありました。真田広之が侍役をやっていましたが、「日本人ここにあり」という感じで、凛とした立ち振る舞いには彼の美学を感じました。本当にかっこよかったです。

 問題はここからです。話の中では、ほかにも侍役が何人かいました。そのうち、おそらく中国系アメリカ人が侍役をやっていたのですが、彼の着物の着こなしが、嵐山の男の子たちと同じだったのです。そう、大人なのにウエストに兵児帯を巻き付けているのです。(もしかしたら「ラストサムライ」ではなく、「サユリ」だったかも。。。)

 「ハリウッド映画たるもの、なんとする!!きちんと演出をやれ!!!」とひとりでぷんぷんしていたことを思い出しました。

嵐山での現状

 嵐山では、途中で立ち寄ったおみやげ物店の人と話してわかったことですが、ショップを経営・営業している中には、外国の人がいるようです。もともとは、海外旅行客用のレンタルショップだったのでしょうね。

 まあ、本人たちがよければ、いらぬお世話なのですがね。

 和服は日本人の民族衣装なんですけど、着こなしは時代とともに変化していくのでしょうか。

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